株式会社呉英製作所

ダイヤモンドカッターの基礎知識寸法と見方・種類と特徴・選び方を解説

ダイヤモンドカッターは硬い材料の切断や研磨をおこなう際に有効な工具ですが、種類が多く、どの用途にどのタイプを選べばよいのか判断に迷ってしまうかもしれません。安全かつ効率的に作業するためにも、最適なダイヤモンドカッターを選びたいものです。

本記事では、ダイヤモンドカッターの基礎知識を踏まえ、カップとの違いから寸法と見方、種類と特徴、選び方までを詳しく解説します。

  1. ダイヤモンドカッターとは
  2. ダイヤモンドカッターとカップの違い
  3. ダイヤモンドカッターの寸法と見方
  4. ダイヤモンドカッターの種類と特徴
  5. ダイヤモンドカッターの選び方
  6. マンガで見るダイヤモンドカッターお役立ち情報

ダイヤモンドカッターとは

ダイヤモンドカッターは、硬質の材料を切断、研磨するために使用される工具です。外周のチップ部分にダイヤモンドの砥粒が埋め込まれているため、一般的な金属製のブレードより切断能力が高く、非常に硬い材料も効率よく加工できます。

ダイヤモンドカッターは、ディスクグラインダーや電動カッターといった電動工具に取り付けて使用します。建設業や製造業で広く用いられ、主にコンクリートや石材、セラミックタイルなど、通常のカッターやチップソーでは対応が難しい材料を加工する際に有効です。

ただし、ダイヤモンドカッターは熱に弱いため、摩耗熱が高くなりやすい金属の切断には向いていません。また、刃を研ぐことができないため、基盤付近まで摩耗したら買い替える必要があります。

ダイヤモンドカッターと
カップの違い

ダイヤモンドカッターとダイヤモンドカップはどちらも硬質材料の加工に使われる工具です。しかし、それぞれの用途は異なり、ダイヤモンドカッターが主に切断作業で使用されるのに対し、ダイヤモンドカップは研磨や削り取りに用いられます。

・ダイヤモンドカッター 外周のチップ部分を材料へ垂直に当てて切断する工具です。深い切り込みを入れたい場合や、特定の形状へ切り分けたい場合に使用します。

・ダイヤモンドカップ 平面状になっている底の部分を材料に押し当て、素材を均一に削るための工具です。コンクリートや石材の表面を平滑にしたり、既存の床材から接着剤や塗料を除去したりする際に使用されます。

ダイヤモンドカッターの
寸法と見方

ダイヤモンドカッターを選ぶ際、寸法を示す数値の意味を理解することが非常に重要です。カッターの寸法は外径、チップ層の厚さ(刃厚)と高さ(幅)、内径(穴径)の4つの主要な要素から成り立っています。

例えば、製品の表記に「125 x 1.8 x 7 x 22」とある場合、以下のように外径、チップ層の厚さ、チップ層の高さ、内径を「mm」で表しています。

・外径:125mm カッターの直径であり、全体のサイズを示す。加工の深さに影響を与える。

・チップ層の厚さ:2.2mm 切断時の精度や仕上がりに影響する。チップ層が薄いほど精密なカットがしやすい。

・チップ層の高さ:7mm 耐久性や切断能力と関連する。層が高いほうが長持ちしやすく、厚い材料にも対応可能。

・内径:22mm 取り付け機械の軸サイズと一致。内径が適合しないカッターは使用できない。

これらの表記を理解し、適切なダイヤモンドカッターを選択することで、作業の効率性と安全性を高めることができます。寸法の表記順序は、メーカーや販売者によっては上記のものと異なる場合がありますので、ご注意ください。

ダイヤモンドカッターの
種類と特徴

ダイヤモンドカッターには、用途に応じたさまざまな種類があります。ダイヤモンドカッターの種類と特徴を知り、使用材料や作業環境に適した選択をすることで、効率的かつ高品質な加工が可能です。以下、代表的なダイヤモンドカッターの種類とその特徴について詳しく説明します。

セグメントタイプ

セグメントタイプのダイヤモンドカッターは、切断部に「セグメント」と呼ばれる隙間があり、コンクリートや石材などの硬質材料の切断に適しています。セグメントは切断中の冷却効果だけでなく、破片のスムーズな排出にも有効です。長時間の使用でも刃が過熱しにくいため、切断効率を維持することも期待できます。さらに、セグメント間の設計によって摩耗が均一に進むようになっており、カッターの長寿命化に寄与します。

ターボリムタイプ

ターボリムタイプのダイヤモンドカッターは、主にタイルや石材の加工に適しています。連続したリムが施されているため、高速で滑らかに切断できるのが特徴です。空気を通過させるターボセグメントやブレード全体に点在させた小さな穴によって、優れた冷却効果を発揮します。また、高速回転による均一的な摩擦のおかげで、チップや割れが起こりにくいです。ターボリムのダイヤモンドカッターは切断スピードが速く、作業効率を高められます。

コンティニュアスリムタイプ

コンティニュアスリムタイプのダイヤモンドカッターは、ガラスや繊細なタイルの精密切断に最適です。連続したエッジを持ち、滑らかな仕上がりを実現します。非常に薄い刃を持つため、切断中の振動が少なく、繊細な材料でも精度の高い作業が可能です。また、切断面の仕上がりが美しく、後処理がほとんどいりません。加工スピードが遅いという欠点はありますが、その分、作業時の騒音も小さいです。

ターボセグメントタイプ

ターボセグメントタイプのダイヤモンドカッターは、多用途でさまざまな材料の切断に対応できる万能型です。名称が表しているとおり、ターボリムタイプとセグメントタイプの特性を併せ持っており、加工品質と作業速度のバランスが良いという特徴があります。具体的には、セグメントによる冷却効果および破片の排出と、ターボリムによる高速で滑らかな仕上がりを両立させることができます。特に、1つのカッターで複数の材料を切断する必要がある場合に便利です。

ダイヤモンドカッターの
選び方

ダイヤモンドカッターを選ぶ際は、使用目的や対象材料、取り付ける工具、適合サイズ、湿式・乾式の使用条件、そしてカッターの厚みを考慮することが重要です。安全で効率的な作業を実現するためには、適切な工具選択が欠かせません。

用途別(対象材質)

ダイヤモンドカッターの選定は、切断対象の材質によって異なります。例えば、コンクリートや石材のような硬い材料には耐久性の高いセグメントタイプが、タイルやガラスといった繊細な材料にはコンティニュアスリムタイプが適しています。また、複数の材料を切断する場合は、万能なターボセグメントタイプが便利です。適切なカッターを選ぶことで、作業効率と仕上がりの両方が向上します。

取り付ける工具と適合サイズ

ダイヤモンドカッターは、取り付ける工具とその適合サイズに応じて選ぶ必要があります。以下に主要な工具とその適合サイズについて説明します。

・ディスクグラインダー ディスクグラインダーでは小型ダイヤモンドカッターが使用されており、狭い場所や細かい作業に適しています。

外径目安 最大切込深さ
105mm 25〜28mm
125mm 30〜35mm
150mm 40〜50mm
180mm 50〜60mm

・電動カッター 電動カッターは中型から大型のダイヤモンドカッターを装着します。強力なモーターを搭載しており、コンクリートブロックや石材の切断に使用されます。

外径目安 最大切込深さ
230mm 〜75mm
260mm 〜100mm
305mm 〜125mm

・エンジンカッター エンジンカッターは出力が非常に大きく、建設現場や道路工事での使用に最適です。大型のダイヤモンドカッターと強力なエンジンパワーによって、硬質材料も迅速に切断します。

外径目安 最大切込深さ
250mm 〜95mm
305mm 100〜125mm
355mm 125〜145mm

・丸ノコ 丸ノコは木材の切断が主な用途ですが、適切なダイヤモンドカッターを選べばコンクリートや石材の切断もできます。その際は、カッターの破損が起きないよう、刃厚と切込深さに注意が必要です。

外径目安 最大切込深さ
80mm 20mm
105mm 25~28mm
128mm 30~40mm
150mm 40~50mm
180mm 50~60mm
203mm 65~75mm

・道路カッター 道路カッターはアスファルトやコンクリートの路面を切断するために設計されており、現場によっては非常に大きなダイヤモンドカッターが使用されます。高出力エンジンと大口径のカッターを用いて、大規模で深い切断をおこないます。

外径目安 最大切込深さ
250mm ~70mm
305mm ~100mm
355mm ~125mm
405mm ~145mm
455mm ~170mm
558mm ~215mm
660mm ~260mm
762mm ~300mm

湿式・乾式の違い

ダイヤモンドカッターには、湿式と乾式の2種類があります。湿式カッターは水をかけながら使用するタイプで、切断中の熱を冷却しつつ粉塵の飛散を抑制することが可能です。さらに、刃が傷むのを防ぎ、切断面も滑らかになります。その代わりに、排水処理をおこなわなければなりません。

一方、乾式カッターは水を使用せずに切断できるため、水分を避けなければならない環境や、水を持ち込めない現場での作業に適しています。ただし、刃が過熱して破損しないよう、適度に休ませながら使用することが重要です。

厚みについて

ダイヤモンドカッターの厚みは、切断の精度と効率に大きく影響します。薄いカッターは精密な切断が可能で、タイルやガラスなどの繊細な材料に適しています。一方、厚みのあるカッターは耐久性が高く、コンクリートや石材などの硬質材料の切断に最適です。作業内容に合った厚みのカッターを選ぶことで作業効率を高められ、仕上がりの向上にも期待できます。

マンガで見るダイヤモンドカッターお役立ち情報

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