株式会社呉英製作所

ケレン作業とは?塗膜の種類や剥がし方について解説

ケレン作業は、表面の塗膜や錆を除去するための作業です。この工程により、塗装の性能を向上させたり、塗膜の剥離を防いだりする効果が期待できます。ケレン作業には1種から4種があり、それぞれに適した方法や道具を選択することが重要です。この記事では、ケレン作業の概要から、ケレンの種類、塗膜の種類と特性、作業の方法や必要な道具まで、詳しく解説します。

  1.  目次
  2. ・ケレン作業とは
  3. ・ケレン作業が必要な理由
    1. ・塗装の性能を十分に発揮させるため
    2. ・塗膜の剥離を防ぐため
  4. ・ケレンの種類
    1. ・1種ケレン
    2. ・2種ケレン
    3. ・3種ケレン
    4. ・4種ケレン
  5. ・塗膜の種類と特性
    1. ・水性塗料
    2. ・油性塗料(刷毛塗り)
    3. ・ラッカー塗料
  6. ・ケレン作業の方法
  7. ・ケレンに必要な道具
    1. ・ディスクグラインダー
    2. ・ワイヤーブラシ
    3. ・スクレーパー(皮すき)
    4. ・専用スポンジ ・ケレンパッド・ケレンたわし
    5. ・サンドペーパー(紙やすり)

ケレン作業とは

ケレン作業とは、塗装前の下地処理の一環として、古い塗膜やサビ、汚れを取り除く工程です。この作業によって塗料の密着性が高まり、塗装寿命の延長や美観の維持に役立ちます。

ケレン作業に用いられる工具は、スクレーパーやワイヤーブラシ、グラインダーなどです。また、剥離剤としてペイントリムーバーを使用することもあります。

ケレン作業が必要な理由

ケレン作業は塗装前の重要なプロセスで、塗装の性能を最大限に引き出し、塗膜の剥離を防ぐ効果があります。ここでは、ケレン作業が必要となる主な理由を2つ説明します。

塗装の性能を十分に発揮させるため

塗装の性能を十分に発揮させるためには、下地処理が欠かせません。塗装面に古い塗膜やサビ、汚れが残っていると、新しい塗料が十分に密着せず、本来の性能を発揮できないためです。

ケレン作業によって表面の異物を除去して清潔にすることで、塗料の密着性を向上させられます。その結果、塗膜の耐久性が高まり、外観も美しく仕上がります。このように、ケレン作業は塗装の出来を大きく左右する重要なステップです。

塗膜の剥離を防ぐため

塗装面に残っている古い塗膜やサビは、塗料の密着性を低下させます。密着性の低い塗料は剥がれやすく、塗膜を長期的に維持することができません。

ケレン作業で下地処理をおこなって塗料をしっかりと密着させることで、塗膜の剥離を防ぐことができます。塗装の耐久性が向上し、長期間にわたって優れた保護効果を発揮します。

ケレンの種類

目的や塗装面の状態に応じて、1種から4種までのケレンがあります。

1種ケレン

画像提供 株式会社シーアールティー・ワールド 様

1種ケレンは、ブラスト法を用いて表面のサビや古い塗膜を徹底的に除去する方法です。ブラスト法では、高圧の空気や水とともに研磨材を噴射し、表面の不純物を完全に取り除きます。特にサビ付きや腐食が進んでいる場合や、塗膜の完全な除去が求められる場合に有効なケレンです。大型の構造物に用いられる工法で強力な除去が可能である一方、騒音が大きく、粉塵も飛散しやすいため、作業時には何らかの周辺対策が必要になります。

2種ケレン

2種ケレンは、ディスクサンダーやグラインダーなどの動力工具を使用して、表面の素地調整をおこなう方法です。サビや古い塗膜を効果的に除去し、塗装に適した滑らかな表面を作り出します。1種ケレンほど徹底的な工法ではないものの、十分な塗料の密着性を確保できる下地処理だといえます。動力工具を使った職人の手作業となるため、大規模な処理には不向きです。

3種ケレン

3種ケレンは、活膜を残しながら死膜のみを除去する方法です。活膜は旧塗膜でも密着性が保たれている塗膜のことで、死膜は劣化して剥がれやすくなっている旧塗膜を意味します。3種ケレンでは、スクレーパーやワイヤーブラシを使用して、サビや割れなどで劣化した塗膜だけを取り除き、必要最低限の下地処理をおこないます。主に部分的な補修や再塗装時に採用され、既存の塗膜をなるべく活用する手法です。また、ケレン面積によってA~Cのランク付けがなされます。

4種ケレン

4種ケレンは、塗装面を軽く目荒しする、あるいは表面を清掃・洗浄するだけのケレンです。サンドペーパーや専用スポンジで表面を軽く擦り、塗料の密着性を向上させるための細かな傷をつけます。通常、比較的新しい塗膜や、サビや汚れがほとんどない場合の下地処理に4種ケレンが採用されます。塗装面の良好な状態を維持しつつ、塗料の密着性を確保するために最小限の処理を施す方法です。

塗膜の種類と特性

塗膜の種類は塗料によって決まり、溶剤で分類すると、水性塗料、油性塗料、ラッカー塗料の3種類です。それぞれの特性によって使用される場面や目的が異なります。ここでは、各塗料の特性について解説します。

水性塗料

水性塗料は、溶剤として水を使用する塗料です。それほど強い臭いがなく環境にも優しいため、屋内での使用に適しています。油性塗料と比べて乾燥が速く、取り扱いも容易です。

水性塗料は手軽に使えることから、DIYや家庭用塗装でも広く利用されています。しかし、耐候性や耐水性が他の塗料よりも劣るため、使用場所や用途によっては適さない場合があります。

油性塗料(刷毛塗り)

油性塗料とは、シンナーなどの有機溶剤で希釈する塗料のことです。耐久性と耐水性に優れた塗膜を形成します。日光や風雨に強く、過酷な環境でも長期間にわたって保護効果を発揮します。塗膜も硬く、光沢が出やすいことも油性塗料のメリットといえるでしょう。

水性塗料と比較すると、乾燥に時間がかかり、臭いもやや強いのがデメリットです。さらに、環境負荷が大きくなる点も考慮して、使用可否を判断する必要があります。

ラッカー塗料

ラッカー塗料は、揮発性の高い有機溶剤を使用する速乾性塗料で、広義には油性塗料の一種です。スプレー型が主流で、乾燥が非常に速く、短時間で硬い塗膜を形成します。優れた光沢性と高い耐久性を発揮し、金属やプラスチックとの相性も良いため、工業製品や車両塗装などで広く使用されています。

しかし、揮発性有機化合物(VOC)の放出が多く、十分な換気能力を備えた作業環境が必要です。また、下地の水性塗料や油性塗料を溶かすことがあり、取り扱いには専門的な知識と技術が求められます。

ケレン作業の方法

ケレン作業は、物理的な方法と化学的な方法に大別できます。

<物理的な方法>
スクレーパーやディスクサンダー、ワイヤーブラシなどの工具を用いて、古い塗膜やサビを削り取ります。作業方法はシンプルですが、内部素材まで不必要に傷めることがないよう注意が必要です。

<化学的な方法>
剥離剤を使用し、古い塗料を溶解させて除去します。工具が使えない場合や、頑固な塗膜がある場合に効果的な方法です。ただし、健康被害の防止や法律を遵守した使用が求められます。

ケレンに必要な道具

ケレン作業には、作業の種類や目的に応じてさまざまな道具が必要です。以下に、代表的な道具を紹介します。

ディスクグラインダー

ディスクグラインダーは、回転する研磨ディスクを用いて表面を削る動力工具です。広い面積を効率的に処理でき、均一な仕上がりが得られます。研磨ディスクの種類を変更することで、さまざまな材料に対応可能です。

ワイヤーブラシ

ワイヤーブラシは、サビや汚れ、古い塗膜を擦ったり掃いたりして除去する金属製の道具です。手持ちのものから電動工具に取り付けるものまであり、用途に応じて使い分けられます。サビが酷い部分や、細かい凹凸のある表面の清掃に効果的です。

スクレーパー(皮すき)

スクレーパーは先端がヘラ状になっている工具で、塗膜やサビを手作業で削り取るのに便利です。幅が小さいスクレーパーは細かな部分の作業に適しており、角になっている箇所や入り組んだ形状の処理に向いています。

専用スポンジ ・ケレンパッド・ケレンたわし

ケレン用のスポンジやパッド、たわしには研磨剤が含ませてあり、表面を軽く研磨したいときに使用されます。軽度のサビや汚れ、落としやすい水性塗料などを除去するのに最適で、細かい傷をつけずに滑らかな仕上がりが得られます。柔軟性があるため、曲面や凹凸のある表面にも対応可能です。

サンドペーパー(紙やすり)

サンドペーパーは、紙や布に研磨剤を付着させたものです。砥粒の種類や粒度によって細かく分類され、作業内容に応じて自由に選択できますが、基本的には使い捨てです。細かな部分の仕上げや、表面を滑らかにする作業に適しています。